俳句講座:夏の季語「乾のデータテニス」活用術
日照りの長さも伸び、太陽の暑さも増してきた今日このごろ、如何お過ごしでしょうか。季節の変わり目は、あらゆる事象が俳句の種ととなり、芽となる時期です。少し気持ちの模様替えをするために外へ出かけてみるのも一つの手段かもしれませんね。
さて、先週は夏の季語「青蛙」について解説しましたが、本日は夏の季語の中でも特に人気の高い「乾のデータテニス」を紐解いてゆこうと思います。
本日のテーマ
季語:乾のデータテニス(夏)
「乾のデータテニス」は夏の情景を表すのに適した季語の一つと言えるでしょう。乾のデータテニスの持つ奥行きや聞き心地だけで、あの夏の懐かしい様子を思い浮かべるのは私だけでしょうか。乾のデータテニスは俳句に入れ込んだだけでも夏が想起される言葉で、ある意味反則的でもあるのですが、乾なしに夏の句を語るのは俳句を齧る身としては少し恥ずかしいことなので、あえて語らせて頂きたく思います。
先日、ブレバトで梅沢富男が「乾のデータテニス」を入れた句を読んでいたのをご存知でしょうか。梅沢氏はあろうことが「乾のテニスデータ」とデータとテニスを入れ替えた一句を披露していたのです。私はブラウン管の向こうにいる梅沢氏に「なんと」と思わず呟いてしまいました。それでは、「データ」の「テニス」ではなく、「テニス」の「データ」になってしまいます。乾にとってデータがテニスであることが重要であるにも関わらず、テニスがデータであるかのように梅沢氏は捉えてしまったのですね。やはり俳優だからと言って持て囃すことは、そのような弊害も生み出すことが分かりました。乾のテニスを馬鹿にすることは私が許しません。
前置きが長くなってしまいました。それでは、本日は「乾のデータテニス」を使った俳句を紹介していきたいと思います。
俳句:あさぼらけ乾のデータテニスかな
解説:夜明けの日の光に馴染むような乾の姿が眼鏡の反射と共に浮かび上がってくるようですね。
俳句:たらちねの乾のデータテニス母
解説:こちらは短歌の枕詞を使った大胆な作品です。乾のデータテニスのようにすべてを母は娘や息子のことを網羅しているんだ、というメッセージが浮かび上がってくるようです。
俳句:見渡せば乾のデータテニスなり
解説:見渡せば一面の乾。そこでおそらくあなたは気付くことになるでしょう。「ああ、私は今、データテニスの術中の中なのだ」と。種田山頭火の「咳をしても一人」を彷彿とさせます。
俳句:まあ見てな乾のデータテニスをな!
解説:エクスクラメーションマークが夢や希望を表現している一句ですね。ですが、我々は知っています。乾のデータテニスに余計な期待を持たない方が良いことを。
俳句:もういいよ乾のデータテニスとか
解説:誰もが一度は経験する乾に対する反抗的な態度。それを上手に切り取っている珠玉の一句です。素晴らしい。また、俳諧に対するアンチテーゼともとれる奥深い作品に仕上がっております。
俳句:絶対に!乾のデータテニスなの!!
解説:絶対にそんなシチュエーションは存在しないのですが、それでも句として成立するのは乾のデータテニスという言葉が持つイリュージョンなのでしょうか。海道のブーメランスネークでも絶対大丈夫なはずです、その状況は。落ち着いてください。
俳句:すぐそばに乾のデータテニスです
解説:コンビニのATMみたいに身近にあるということでしょうか。別に大丈夫ですね。
俳句:わたしには乾のデータテニスだけ
解説:絶対にそんなことはないです。
俳句:乾やん。乾のデータテニスやん。
解説:「え、ちょっと、まって。嘘やろ。ここ鳥取やで?鳥取で、会う?やば。めっちゃ砂丘やで!」みたいな。
俳句:乾より…乾のデータテニスより……
解説:「あなたが好きです」みたいなことでしょうか。
俳句:うわあああ乾のデータテニスうう
解説:断末魔です。
如何だったでしょうか。乾のデータテニスのことがより愛おしく感じられる講座だったのではないでしょうか。以上で本日の講座は終了します。
次回は秋の季語「クラッシュバンディクー」活用術でお会いしましょう。
さよなら。